BB戦士イージスガンダム改造
SD ホッカイオー
ホッカイオーというロボットを知っていますか。

2008年〜2009年頃、ふたば☆ちゃんねるで盛り上がった企画がありました。
それは、各都道府県の地図だけを組み合わせてロボットの形にするものです。
ロボットは列闘神と呼ばれ、特に北海道モチーフは絶対零度ホッカイオーと名が付けられました。

その北海道モチーフのロボット(下図左上)をイラスト(下図右上・左下)にした
ToMoさん(サイトMachine Mess)というかっこいいイラストを描く人がいます。

それをニコニコ動画のまとめ動画で知り、ホッカイオーを作ってみたいと思いました。
まとめ動画の中にSD風(右下)のイラストがあったことと、作りやすさの関係から、
ToMoさんに監修の協力をお願いした上で、SDサイズでの製作に踏み切りました。
※これらの画像は、ニコニコ動画sm6779170からキャプチャしたものです。
ここから、その1・その2と製作編をやるので、すぐに完成形を見たい人はその3へ。


当初、自分でSDサイズにデザインした時はこんな感じでした。ですが、どうしてもしっくり来ていませんでした。

特に、背面の資料が全くなかったので、自分でどうにかするしかないかなぁ・・・と思っていました。
そこで、ToMoさんにその旨も含めて監修のお願いすると、素晴らしいデザイン画が送られてきました。

「これは・・・」とテンションとモチベーションが何倍も上がりました。

サイズもかっこよさも雰囲気もすべてがベストなこのデザイン画をもとに製作を始めました。

なお、ホッカイオーはバージョン1と2がありますが、1をもとに2の要素も織り交ぜながら、おはへーによるアレンジを加わえています。
今回ベースとするのは、BB戦士イージスガンダム。

箱を開けて、ランナー紹介です。BB戦士サイズとなると、パーツはモナカ割りが主体てすね。

*パーツが左右に分割されてランナーになっているパーツ割りのこと。
まずは、ニッパーでパーツを切り離していきます。

このとき、後で加工するので、ゲート処理を全く気にせずバスバス切り取っていきます。
仮組みをする前に、凸を半分ほど切り取ります。


この作業をしないと、仮組みをしてからパーツを外しにくくなってしまいます。
仮組みしたイージスガンダムです。

変形機構を搭載しているので、少々ゴツイ部分はありますが、足が長くてかっこいい。
ある程度ポーズをつけられます。


武装はビームライフルとシールドです。
ガンダムSEEDにおけるトールのトラウマシーン。笑


劇中では、シールドを投げつけてトールの乗るスカイグラスパーのコックピットを破壊していました。
変形!MA形態です。

劇中では足を全部伸ばした巡航形態もありましたが、BBでは再現されず。

これができたらすごかったんだけどなー。


HGサイズになると頭部を収納するのですが、BBだとさすがに頭が大きすぎるので外して変形します。
それでは、パーツをバラして改造に入っていきます。

この時は自分で描いた設計画を元にいろいろ考えています。
■フレームの加工
イージスは変形機構が組み込まれているので、フレームを一体化する必要があります。

まずは背面パーツを分離します。
胴体も分離します。
上半身は、このままだと太いので砲門部分を削ってノコで切り詰めます。
それに合わせて、下半身も切り詰めます。
組み合わせると、このようにスマートになります。
背中の突起と首部分が同パーツなので、切り離します。
胸パーツの接合をシンチュウ線に変更します。
切り詰めの際に、褌パーツを受ける突起も削ってしまったので、シンチュウ線で接続します。
■頭部の加工
まず、イージスの特徴的なセンサーを切り落とします。

頭部は盛る・顔は削る方向で下降をしていきます。
必要な部分を残して削ると、このように鋭い、デザイン画に近い顔つきになりました。
後頭部にパテをひたすら盛り、兜のようにしていきます。
穴埋めと兜の調整で前面にもパテを盛っています。


角の接続部分もプラ板で自作。
後頭部は盛っては削り、盛っては削りのくり返し。
プラ板から角を切り出します。


薄いプラ板に厚いプラ板を貼り付け、面取りします。
角の仮配置と、基部と合わせた中央の角。
3つ合わせて立派な角に。
角と肩にパテをたんまり盛っています。
顔、ほぼ最終段階に。
頭部はだいたい形が整いました。


胴体も少しずつ変わっています。
その変化を以下で詳しく説明します。
■胴体の加工
褌パーツ、削るアタリを描いています。
胴体は、脇のパーツと接合して、パテの盛り削りで対応します。


まぁ、ほぼこういう作業なんですが。
■腕の加工
腕はほぼそのまま使用。
クローの部分だけ取り外します。

肩はより大きくするので、プラ板で土台を作ります。
さっき見たぞこの写真。

変化の様子が分かるでしょうか。
ピンクの部分がもともとのパーツで、黄色と青白いのがパテ、白い板がプラ板です。
さっき見たぞこの写真パート2。

肩にたんまりパテを盛ります。
もともとの肩の先の部分は、パテが硬化後に切り落とします。
■足の加工
足もほぼそのまま使用。
ただ、クリアランス確保のためにポリキャップ付近はかなりキツキツギリギリまで削り込んでます。

腰のアーマーの軸はそのまま使用して、別途アーマーを作ります。
イージスの足先のクローはそのままでもよいのですが、プラ板を継ぎ足してより大きい突起にします。
盛り削りを繰り返していたパーツを一回組み合わせると、こんな感じに。

だいぶシルエットが変わったのがお分かりでしょうか。
胴体アップ。
もうイージスの原形はとどめておりません。
頭部側面に角を生やしていきます。
イクスブラウのときも側面にトゲが多かったよな・・・。
プラ板を貼り付けてパテで基部の形状を作ります。
腹周りもパテで。

足のアンクルガードはパテで土台を作ってからパテ。
切り出したプラ板を接合して腰部側面のアーマーを作成。

直線はこうやってお手軽にできるから楽。
  手は切り離して、ポリキャップと軸を仕込んで回転できるようにします。
ここまででこんな感じ。

剣の両手持ちがどうしてもしたいので、試行錯誤中の一枚。
裏面から見たら胴体のハリボテっぷりがばれます。
二の腕部分のアーマーをプラ板で作成。
ポリキャップを仕込んで、伸縮と開閉ができるようにします。

両手持ち用に左手を新規作成。パテを少しずつ持っていきます。

ひじのカッター部分はプラ板で土台を作って後にパテ。
頭部側面のダクトには市販パーツを配置。

左手がだんだんできてくる。

腰部側面のアーマー基部もパテ。
塗装を見越して、顔の後ハメ加工。

ポリキャップ受けをプラ板で作成、顔の裏の見えない部分を削って、下からスルッとハメられるようにします。
そろそろ背面もやらねば、と上半身と下半身を合わせながら背面パーツを作成していきます。
ここで、胴体を捻れるように、上半身と下半身の接続をシンチュウ線からポリキャップに変更。
仕上がったパーツはサフをふいて、瓶サフを塗りながら紙やすりで整えていきます。
剣の製作
様々な大きさに縮小・拡大したイラストをもとに、サイズを検証していきます。

右の写真が、ちょうどよいと感じたサイズ。
どうしても両手持ちがしたいのですが、柄の長さが問題になります。両手持ち基準だと、片手持ちにした時に長くなってしまいます。


長さが変わればいいんだ、という発想で、プラパイプを剣の中に仕込んで、調節できるようにします。
先程のサイズのイラストをプラ板に転写し、切り出します。イラストだから当然なのですが、左右非対称なので、三角定規を駆使してここで直します。
  切り出し終了。

ポリキャップをプラパイプの先端に取り付け、片手持ち状態で柄を固定できるようにします。
それを剣の中心に据え、プラ板とパテで形状出しをしていきます。
  剣に夢中になっていたので、忘れていたパーツを製作します。
背面パーツを昔作ったポリパテの塊から削り出し、肩にはプラ板でビットを作り、穴を開けて装着。
剣を持たせて、本体完成。
オリジナル武器の製作
さて、余ったパーツはどうしましょう。
このままジャンクにするのはもったいない・・・。

イクスブラウの時にもやりましたが、余ったパーツでオリジナルの武器を製作します。
背面パーツは、もともとの状態(左)を組みかえてこうすると(中央)なんと大型クローに(右)!
盾の受け穴がなくなったので、新たに持ち手を作成します。
このあたりで、余剰パーツをいじっていたときでした。
「北海道に見えてきた!」

もう北海道にする気しか出てきません。
頭部のセンサーと腕部クローはバスターライフルに。
もちろん、北海道の形になることが重要なので、市販パーツを仕込んで銃身を可動式に。
塗装
洗面台で削り粉を落とし、サーフェイサーを吹いて下地塗装をします。
最初は、青。

ガイアカラーのシアンにちょっとだけマゼンタを混ぜてハンドピースで吹きます。
先程の青を塗った部分、黄色と白になる部分をマスキングテープで隠します。

この状態だとホッカイオーヴァージョン2 オーバードライブ状態のカラーリングっぽいですね。
ガイアカラーのマゼンタとMr.カラーのシャインレッド・ホワイトを混ぜて真っ赤に染めます。
マスキングをはがすとこんな感じに。
目の部分はMr.カラーのルマングリーン、その周りはエナメル塗料のブラックで。この定番のやり方は、もし黒がはみ出してもエナメル溶剤で拭き取れるのです。

後ハメ加工をしていたので、接着部分に貼っていたマスキングテープをはがし、瞬間接着剤で接着。
白と黄色と水色、エナメルのブラックは筆で塗っていきます。

この状態だとツヤツヤしているので、つや消しクリアーコートを吹きかけて一応完成。
デカールの作成
ホッカイオーの両肩のマーキングを再現するために、自作のデカールを作成します。

実は初めてデカールに挑戦したのが、サザビーのときだったので、デカール経験はまだまだ浅いのです。

ガイアカラーでお馴染み、ガイアノーツから発売している「おうちdeデカール クリアータイプ」を用います。

ホッカイオーのイラストからそのまま持ってきた両肩のマーキングと、武器用にオリジナルのマーキングを作って、専用用紙に印刷します(写真右の紙)。
これに接着剤シートを貼ると、オリジナルのデカールが完成です。
完成
完成しました。
本体のみ、正面からです。

なお、今回からデジカメの補正を+0.7くらいにして撮影しているので、いつもより明るく、かっこよく写っているはずです。
背面から。

頭部周辺のトゲが絶妙にぶつかり合っていないのがわかるでしょうか。
元の素体、イージスガンダムと。

例によって、原形をほぼ留めていません。
スタイリングはほぼ同じですが、頭部に関してはヒサシを下に延長して角を下げているので、イージスとは異なる印象を受けます。
可動域の説明です。

肩から二の腕部分にくっついているアーマーはポリキャップが内蔵されているので、引き出して展開する事により腕の可動域を少し広げます。右肩が閉・左肩が開の状態。

上半身と下半身にもポリキャップを仕込んであるので、この程度までスイングすることができます。
両肩にデカールを貼り付けました。
実際に配置してみないとバランスがわからないので、大きさを複数用意してちょうど良いのを選択しました。

右肩の雪のようなマークはうまくいったのですが、左肩が問題です。クリアータイプのデカールなので北海道の黄色が下地の赤によってうまく発色していません。しかも、デカール自体が白みがかってしまいました。
背面から。

肩の部分のビットは、イラストでは浮いています。どうしようか悩んだのですが、肩の後ろの部分に差し込むようにしました。着脱出来ます。

背面やその脇のバーニアは勝手にアレンジした部分です。また、胸の脇のダクトも、凹を凸に変えてしまいました。
ビットを浮かせてビットらしくするのがめんどうだったので、アーマーシュナイダーと解釈。

もちろん、持ち手として対応はしていないのでナイフに見えるように持っているだけです。
ロボットアニメのOPにありそうなアングル。胸の脇にはホッカイオーに搭乗する主人公が立っていそうです。
ラベンダーソード
ここから、剣を持たせます。

ホッカイオーのテーマソングでは、「ラベンダーブレード」と呼称されていますね。
元のイラスト、ホッカイオーバージョン1をバックに。

やはり、リアル頭身とSDでは頭部の比率がかなり異なります。
盾を突き刺した状態。

柄に手は届かないので後ろで支えています。
剣のトゲを生かしたポーズ。

個人的にかなりお気に入りです。
大きく振りかぶって。

赤いカラーリングと大きな武器、とがった目から「鬼神」という感じがします。
剣の柄は深く差しこんだ状態でポリキャップに固定されますが、浅く差しこんだ状態でもプラパイプに保持されるので、両手持ちように柄を長くすることができます。
剣の柄をを両手持ち用に長くして、左手を両手持ち用の手に換装します。
こうやって見ると剣のバランスが悪く見えますが、剣と矛の中間だと考えればいいんです(笑)
この剣は「斬る」というより「ぶった斬る」という表現が似合いますよね。ということで、ぶった斬られそうなアングルで。
いくらロボットとは言え、この長さは重そうです。

もしアニメーションで再現されたら、剣を振る勢いで地面にめり込んだりするのでしょうね。
サモン・ユニオニオン
ある戦いで、ホッカイオーは苦戦していた。


ホッカイオー「くっ、ラベンダーソードじゃ戦いがゆるくないっしょ(楽じゃない)。どうするべさ…」
そんな時は、オリジナル武装を召喚だ!

ホッカイオー「サモン・ユニオニオン!」


※召喚(サモン)と鮭(サーモン)、結合(ユニオン)と玉ねぎ(オニオン)を引っ掛けました。
はい、このユニオニオンはホッカイオーを作るにあたって使わなかったイージスガンダムのパーツを寄せ集めたものです。

シルエットには北海道の意匠を取り入れています。見れば一発でわかりますね。
裏から見るとこんな感じです。

ライフルが支えとなっているため、きちんと自立します。
本体の中央には、縦に読むと「北」「海」「道」となるようにデザインしたデカールを貼ってあります。


右の「HOKKAIDO」というデカールと同じものを左の黒い部分にも貼っているのですが、背景色が濃すぎて全然見えません。貼ってから気付きました。
分離すると7パーツに分かれ、再度組み合せることでホッカイオーの4つの武装になります。

本体も含め、名称を北海道の名産品や方言になぞらえています。ちょっと中二な感じもしますが、あくまで遊びなので深くは気にしないでください。
まず、標準的な武装として、トウキビームライフルとニシールド。

右手に装備したトウキビームライフルは、直線的な黄色い光弾を発射します。ですが、その光弾は着弾と同時にポップコーンのように弾けるので、扱いやすい上に攻撃力は高い武装です。
左手に装備するニシールドは、通常時は実体盾として使います。シールド表面から発生させるビームでニシンのように煌めくユウバリヤーを張ると、ビームと実体の二重の盾となり、破格の防御力を誇ります。
左手に装備したクラブクローはそのままでも打撃武器として使えます。
クラブクローをひとたび展開すると、カニのハサミようなクローとなり、圧倒的な破壊力で突破口を開く。


※クラブクローの白いクローの先端にあたる根室あたりではカニが名産品ですね。
ニシールドとクラブクローを同時装備。

クラブクローで挟み込んだ対象物を、ニシールドの先端にユウバリヤーをピンポイントで集中させて貫く技「ロスト・サークル」は圧巻。

※ロスト・サークル…失われた輪→ない、わっか→わっかない→稚内。ニシールドの先端は最北端稚内の位置です。おわかりいただけたでしょうか?(笑)
ユニオニオンの左側を変形させ、中央下部のフィンを合体させると、ジャガバスターライフルとなります。

先端を閉じた状態では、イカのように鋭いイカッターで対
象物を切断する銃剣のようになります。


※ジャガバスターライフルの先端は函館。函館といえばイカでしょう。
展開すると、超巨大なジャガイモのように丸いビーム弾を発射するバスターライフルに。直撃した対象物は、バターのように溶けていきます。
時には、先端のイカッターで対象物を刺し、高威力のジャガバスターを0距離で放つ「シオカラジャガバスター」という荒業も。
ジャガバスターの最大出力を両手で構えて放つ大技。

かつてその凄まじい破壊力を見た者は混沌とした争いをやめ、すぐに秩序を取り戻そうとしたことから「北にあかりと男爵とクイーンが目醒める」という伝承にもなっています。
フル装備状態。

ジャガバスターライフルの側面はイージスのサイドアーマーそのままなので、トウキビームライフルは差し込むことができます。

また、砲身の下にニシールドを組み合わせるための突起を設けておいたのでそこに引っ掛け、グリップエンドで持ち手を挟み込んで固定することができます。

ラベンダーソードは立て掛けただけです。
以上で、ホッカイオーの記事を終わります。

ToMoさんのイラストに惚れてから、製作に取りかかるまでと終わるまでにかなりの時間がかかりましたが、とっても良い企画でした。なにより、当のToMoさんに監修していただいたことは嬉しい限りです。

もう1作品をもって、当面の大きな企画は終わりとなります。引き続きお楽しみに!
追記 11/6/12
電撃ホビーマガジン2011年7月号の読者投稿コーナー「Reader's Works」に掲載されました。
今まで3位以内に入っていましたが、今回は初の等外でした。
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